Future Earthとは

Future Earthは、持続可能な社会への転換をめざす、地球環境研究・サステナビリティ科学の国際的研究プラットフォームです。すべての人にとり持続可能で公平な世界の実現をめざし、研究とイノベーション、社会との協働を通して、持続可能な地球社会への転換を推進します。

Future Earthは、現在の地球、そして人間社会が直面している、持続可能性における危機的状況を科学的に明らかにし、それを回避するための知を、研究ネットワークの連携を推進して社会のステークホルダー(関係者)とともに提供することを目的としています。

自然科学・人文社会科学の多岐にわたる分野の専門家と、社会の多様なセクターの実務者が参加することにFuture Earthの特徴があります。各分野の卓越した研究に加え、広範なネットワークを生かして分野を超えた共同研究を促進し、気候・海洋・生態系・経済・エネルギーなど、地球システムの相互関連性と人間活動のダイナミクスの探求と、課題解決に向けた統合的な知見の創出をめざしています。Future Earthはこれらの知見を通して、科学-政策-実践のあらゆるレベルの接点において、エビデンスに基づいたサステナブルな意思決定がなされるよう支援しています。

Future Earthでは研究の推進にあたり、次のことを重視しています。

  • 自然科学と人文社会科学の研究者が分野を超え連携し、統合的知見を創出する(学際研究)
  • 政策担当者や社会のステークホルダーが、研究計画の立案から知見の利用にいたる諸段階で研究に参画する(超学際研究)
  • 課題をシステムの視点でとらえ、解決を志向した知見を創出する(システムズアプローチ

戦略的取り組み

Future Earthは、政府、コミュニティ、企業が国連の17の持続可能な開発目標を達成するために必要な知識とツールを開発しています。環境、社会、経済の各システムのつながりを理解することで、研究とイノベーションを促進し、ネットワークを構築・動員し、ナラティブを形成して、知識を行動に移せるよう取り組んでいます。

研究とイノベーションの促進

Future Earthのグローバル研究ネットワークや各国・地域の研究ネットワークとともに、地球システムと人間活動の相互作用の理解を進めます。また「持続可能性のための科学的根拠に基づく道筋」(Science-Based Pathways for Sustainability)などの実験的、横断的なイニシアティブを開発し、社会と共にサステナビリティ科学に取り組みます。

ネットワークの構築・活用

社会と協働したサステイナビリティ科学の推進をめざし、学術、ビジネス、NPO/NGO、若手実務者、行政などの関係者が、グローバルなサステイナビリティの課題に共に取り組むネットワークを作ります。

ナラティブの形成

最新の科学的知見を発信し、政策、ビジネスの意思決定に反映させ、持続可能な社会の実現に向けた市民との対話や公論の形成を促進します。「気候科学における10の新しい洞察」、雑誌「 Anthropocene (人新世)」などを定期的に発行しています。

背景と沿革

Future Earthの活動は、長年にわたり地球環境変動研究を牽引する多くのプログラムを基盤にしています。これらのプログラムは、人間活動を含む地球のすべての要素がどのように相互に連関して作用するかを探求する地球システム科学の形成において、重要な役割を果たしてきました。また、人為的影響により特徴づけられるという点で地球の地質学的歴史における新しい時代であるとして、「人新世(Anthropocene)」の定義も導きました。さらに、人類が地球に与える負荷が大きくなりすぎると、例えば気候、水環境、生態系などに内在する回復力(Resilience)の限界を超えたときに不可逆的で大きな変化が起こりうるとし、人類の活動をそのような限界(地球の境界: Planetary boundaries)の範囲内に収める必要があるという認識も生まれました。

一方で、持続可能な地球社会にむけた課題解決や現状の改善に科学がより大きく貢献するために、地球システム科学を推進する新しいメカニズムを作ろうとする気運が生まれました。Future Earthは、こうした中、2012年にロンドンで行われた国際会議「Planet Under Pressure」で提唱され、同年6月リオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」(Rio+20)での設立の宣言を経て、2015年に本格的に活動を開始しました。

Future Earthはこのような科学的な経緯と伝統を受け継ぎ、持続可能な社会への転換をめざした研究と活動を続けています。

運営体制

2021年8月、Future Earthは抜本的な組織改革を行いました。Future Earthの運営に携わっている主要な組織は以下の通りです。

総会(Assembly)

総会は、Future Earthのコミュニティ全体を代表する包括的な組織で、グローバル研究ネットワーク、国・地域のFuture Earth推進組織、若手研究者、低・中所得国の研究者、Future Earth国際事務局ハブなど、多様なFuture Earthのコミュニティの代表で構成されています。Future Earth の主要アジェンダ、戦略、活動、組織の開発などを議論し、意思決定機関である評議会に助言を行います。

評議会(Governing Council)

評議会は、総会での投票により各コミュニティの代表として選ばれた17名のメンバーからなり、総会を代表して、Future Earthの運営に関する意思決定を行う機関です。Future Earthの戦略的・科学的方向性を監督し、Future Earthのアジェンダ、戦略、活動、体制などに関する意思決定を行います。

国際事務局

国際事務局は、現在9つの国際事務局ハブと4つの地域センターおよびオフィスにより構成されています。国際事務局ハブはカナダ、フランス、日本、スウェーデン、米国、中国、台北、南アジア、アフリカに分散して設置され、Future Earthの国際研究ネットワークの調整や研究イニシアチブの運営、支援を行います。テーマ、プロジェクト、地域間の調整を図るとともに、主要なステークホルダーとの連絡調整を行い、Future Earthの活動を推進します。

各国の国内組織

国内委員会/組織は、各国のFuture Earthコミュニティを代表して、Future Earthから独立して組織されるグループで、Future Earthのネットワークを構成します。それぞれの国や地域において、Future Earthの活動を推進します。