日本委員会について

Future Earthは、持続可能な社会への転換をめざす、地球環境研究・サステナビリティ科学の国際的研究プラットフォームです。持続可能で公平な世界の実現をめざし、研究とイノベーション、社会との協働を通して、持続可能な地球社会への転換を推進しています。

フューチャー・アース日本委員会とは

フューチャー・アース日本委員会は、日本でFuture Earthの活動を推進する主要な組織で、Future Earthの趣旨に賛同した日本の大学、研究機関、企業、NPO、メディアなどが参加しています。日本委員会は、日本におけるFuture Earthの活動推進に関し、産業界や地域社会など社会のステークホルダーを代表する役割を担っています。日本学術会議の関連委員会やFuture Earth国際事務局日本ハブと連携し、社会と学術の協働を具体的に行い、国連持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた社会の取り組みに貢献することをめざしています。

フューチャー・アース日本委員会は、2017年9月、Future Earth国際本部事務局日本ハブを支える組織としてあったフューチャー・アース日本コンソーシアムが発展的に改組し結成されました。2022年3月現在、40機関が参加しています。

委員⻑挨拶

フューチャー・アース(Future Earth; FE)は、2012年にロンドンで行われた「Planet Under Pressure」と題した国際会議を発端に、同年6月リオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議」(Rio+20)で提唱され、関連する国連機関(UNESCO, UNEP, WMO, UNU, SDSN)とアカデミアを代表する組織(国際科学会議(ICSU)および国際社会科学会議(ISSC))および、各国の環境研究の資金提供機関の集まりであるベルモントフォーラム(Belmont Forum)が合同で立ち上げました。

FEの大きな目的は、危機的状況にある地球環境の研究を統合的に進めると同時に、その解決と持続可能な地球社会をめざす超学際的活動を、さまざまなステークホルダーと協働で進めることにあります。2015年には、国連サミットで決議された持続可能な開発目標(SDGs)が採択されたことも受け、FEはSDGsの達成に資する研究と事業を進める国際的なプラットフォームの役割も果たしています。

FEに関わる国内外の研究者の多くは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)にも参画し、地球温暖化問題や生物多様性問題の解明に資する研究に大きく貢献しています。これらの研究活動により、地球環境の危機的状況の実態は、ますます明らかになってきています。

しかし大変残念ながら、この十年間、人間活動に起因する地球温暖化はさらに進み、大気や海洋の環境の悪化や生態系の劣化もさらに進行しています。そして、人類自身が、その生存基盤となっているはずの地球の自然環境をすっかり改変し、かえって人類と生命を脅かしているという人新世(あるいは人類世: Anthropocene)を創り出してしまっています。

なぜ、このような事態になっているのでしょうか。

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いくつかの大きな課題がありますが、ひとつは、シームレスにつながった地球環境のしくみを、科学の分野を超えての学際的・統合的に進める研究の難しさです。産業革命以降、爆発的に発展した科学は、自然や人間社会を細かく細分化して部分部分での理解を進める方向で進んできたために、複雑につながった地球環境や地球のシステムを統合的に理解することは苦手なのです。複雑な地球の持続可能性とは何かを考えるという視点での、自然科学だけでなく人文学・社会科学を含めた科学の再統合が、研究者一人一人のマインドセットもふくめて必要なのです。
もうひとつの課題は、私たち人類、いや人類を含む生命圏にとって、ひとつしかない地球を、健全な状態で次世代に引き継ぐための地球社会の枠組みをつくることの大切さと大変さです。そのためには、現在と未来の地球での人々がお互いの多様性を認めあって生きていける努力をすることだと思います。SDGsの17目標はすべてが複雑に網目のようにつながっており、バラバラの目標ではなく、全体として解決をめざす努力をしない限り、「誰一人として取り残さない(No one left behind)」という最終目標は達成できませんし、社会も変わりません。

FEがなかなか思うように進んでいない、あるいは進んでいないように見えるのは、まさに「未来の地球(Future Earth)」のために、科学も社会も、そして自分自身も変革していくという、とてつもなく巨大で、しかしやらざるをえない課題の解決をFEがめざしているからなのです。そして、FEの推進のためには、地球全体を丸ごと考えていく前提として、自然環境も、文化も社会も歴史も異なる地域や国レベルでの「持続可能な社会」をめざす努力が不可欠なのです。

フューチャー・アース日本委員会は、そのような構想のもとに、多くの大学、研究機関を含む研究者コミュニティと、行政関係者、企業やNGO/NPO、メディア、市民団体など、多様なステークホルダーが繋がり合って、力を合わせることにより、日本での環境と社会の課題解決をめざすために立ち上げています。もちろん、さらに多くの仲間が必要です。そして、他の国、地域のFEの活動との連携と協働を通して、地球全体の「未来」も考えていきます。

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フューチャー・アース日本委員会

共同委員長
安成哲三 (総合地球環境学研究所/京都気候変動適応センター)
山本百合子(イオン環境財団)

共同委員長  安成哲三          (総合地球環境学研究所 京都気候変動適応センター)

共同委員長  山本百合子        (イオン環境財団)

フューチャー・アース⽇本委員会参加機関

2023年4⽉現在/41機関・太字の機関はポスターをご覧いただけます

  • 北海道大学
  • 北海道教育大学(函館校国際地域学科)
  • 東北大学
  • 茨城大学
  • 千葉大学
  • 国連大学(サステナビリティ高等研究所)
  • 政策研究大学院大学(政策研究科)
  • 東京大学(未来ビジョン研究センター)
  • 慶応義塾大学(大学院政策・メディア研究科)
  • 名古屋市立大学
  • 名古屋大学(フューチャー・アース研究センター)
  • 中部大学
  • 三重大学(大学院 生物資源学研究科)
  • 京都大学(学際融合教育研究センター Future Earth研究推進ユニット)
  • 鳥取大学(国際乾燥地研究教育機構)
  • 広島大学(FE・SDGsネットワーク拠点(NERPS))
  • 高知工科大学(フューチャー・デザイン研究所)
  • 九州大学(持続可能な社会のための決断科学センター)
  • 長崎大学
  • 琉球大学SDGs推進室
  • (一社)SDGs市民社会ネットワーク
  • CSOネットワーク
  • LUCKY Fountain 有限会社
  • 4Revs
  • イオン環境財団
  • イクレイ日本
  • 一般社団法人SWiTCH
  • グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
  • サラヤ株式会社
  • リモート・センシング技術センター(RESTEC)
  • 宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測研究センター(EORC)
  • 科学技術振興機構/社会技術研究開発センター
  • 花王株式会社
  • 海洋研究開発機構(JAMSTEC)
  • 国立環境研究所
  • 総合地球環境学研究所
  • 地球環境戦略研究機関
  • 日本科学未来館
  • 日本学術会議
  • 認定NPO法人Malaria No More Japan
  • 文部科学省(研究開発局環境エネルギー課)

フューチャー・アース⽇本委員会 運営委員会メンバー  (2023年4⽉現在)

共同議長安成 哲三総合地球環境学研究所総合地球環境学研究所
共同議長山本 百合子公益財団法人イオン環境財団事務局長
事務局長山内 太郎北海道大学大学院保健科学研究院教授
副事務局長江守 正多教授
上級主席研究員/日本学術会議連携会員
委員大西 隆日本学術会議連携会員
蟹江 憲史慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授/日本学術会議連携会員
高村 ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授/日本学術会議副会長
谷口 真人総合地球環境学研究所副所長/日本学術会議連携会員
轟 渉文部科学省研究開発局環境エネルギー課長
長島 美紀認定NPO法人Malaria No More Japan理事
原田 尚美東京大学大気海洋研究所教授/日本学術会議連携会員
檜山 哲哉名古屋大学フューチャー・アース研究センター副センター長
福士 謙介東京大学未来ビジョン研究センター教授/日本学術会議連携会員
安岡 善文一般財団法人リモート・センシング技術センター技術参与
オブザーバー
春日 文子Future Earth 国際事務局
長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科/プラネタリーヘルス学環
日本ハブ事務局長
教授/日本学術会議連携会員
ハイン マレーFuture Earth 国際事務局
京都府立大学
日本ハブ シニアアドバイザー
教授
長谷川 雅世国際環境経済研究所主席研究員
堅達 京子 NHKエンタープライズ制作本部情報文化番組エグゼクティブ・プロデューサー