電気とバクテリアを使って二酸化炭素を燃料に変えることに成功

二酸化炭素を燃料に変える新しい方法は、大豆からディーゼルを作るよりも45倍効率的で、土地の使用量も45倍少なくて済みます。

文:Anthropocene Team
2024年11月21日

地球温暖化に繋がる二酸化炭素を大気中に排出する代わりに、多くの科学者やスタートアップ企業は温室効果ガスを貴重な化学物質や燃料に変えたいと考えています。

今回、研究者たちは、電気とバクテリアを組み合わせて二酸化炭素を脂肪酸に変え、最終的に自動車用のバイオディーゼルに変える新しい方法を発見しました。『Joule』誌で報告されたこのプロセスは、大豆からバイオディーゼルを生産するのに必要な土地の45分の1しか必要とせず、45倍効率的な方法です。

「私たちは、特に太陽光からのエネルギーを計算に入れると、エレクトロバイオディーゼルという方法が従来のバイオディーゼルよりもはるかに効率的であることを証明した」と、セントルイスにあるワシントン大学のエネルギー・環境・化学工学のJoshua Yuan教授は言います。

米国エネルギー情報局によると、2022年の米国における輸送による二酸化炭素排出総量の4分の1を石油ディーゼル燃料が占めています。ディーゼル車から排出される二酸化炭素を削減する一つの解決策は、従来のディーゼルをバイオディーゼルに置き換えることです。そしてそのバイオディーゼルは米国では主に大豆油から作られています。

バイオ燃料の製造はもちろん光合成に依存しています。それでは太陽光と二酸化炭素を植物バイオマスに変換する効率は1%以下です。一方、新しい方法では、ソーラーパネルからの電力でプロセスを駆動させると、太陽エネルギーの4.5%が脂肪酸に変換されます。

研究チームは、化学反応を促進するために触媒に頼る電極触媒反応と呼ばれるプロセスを使用しました。研究チームは、二酸化炭素を中間化合物に変換する新しい亜鉛と銅ベースの触媒を設計しました。そして、その化合物をバイオディーゼル生産用の脂肪酸に変換するために、人工微生物を使用しました。

「電極触媒反応とバイオコンバージョンを組み合わせることで、自然の光合成よりもはるかに速い方法で、太陽エネルギーを含む再生可能エネルギーをバイオ製品に高効率で変換することができる。現実的に言えば、私たちは、低コストの再生可能な電子や核融合電子が、CO2を私たちが必要とする化学物質、燃料、材料に変換する原動力となり、化学や燃料産業を電化する未来を描くことができる。これによって、現在の石油化学産業を回避し、炭素循環経済を実現することができる」とYuan教授は指摘します。

バイオディーゼルを1グラム生産するごとに、1.57グラムの二酸化炭素が削減され、マイナス排出となります。対照的に、従来の石油ディーゼル生産では1グラムあたり0.52グラムの二酸化炭素が排出され、バイオディーゼル生産では1グラムあたり2.5~10グラムの二酸化炭素が排出されるのです。

出典: Kainan Chen et al, Electro-biodiesel empowered by co-design of microorganism and electrocatalysis, Joule, 2024.
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